時事: 2010年Archive Index
ええと千葉法相が死刑執行に踏み切ったそうで、本当に何を守りたくて何してんのかわかんなくなってきたわけですが(「2人の死刑を執行 千葉法相になって初、自ら立ち会う」asahi.com)。
民主党の枝野幹事長は執行命令に法相が署名したのは24日だと明らかにしたそうですが(MSN産経ニュース)、いや参院議員としての在職期間内だろうがその資格を失ってからだろうが法的には法務大臣であることに変わりがない以上どうでもいいことだし、政治的に落選によって正統性が傷ついた状態であることにも変わりないので差はなく、何が言いたかったのかねえ。たとえば内閣不信任決議を受けて首相が衆議院を解散した場合、当該内閣は総選挙後に特別国会を召集するのに伴って総辞職するまで法的には現職に留まっているわけだが、だからといってその期間に(最低限やらざるを得ないレベルを超えて)大赦・特赦だの条約締結だのバリバリやったらまずいと思うでしょ? レイムダック総理がレイムダック法相を続投させてる状態なんだから、新しいことやること自体が問題なんですよ。なんかやっぱり民主党の人って時間を通じた一貫性とか整合性に関する思考ができないのかねと、そう思ったことでした。
ええと、それで何だ参院選か。総合的にはまあ講義で学生にそういう話もしたのですが研究者としては興味津々という状況で、つまりどう考えても従来のルールは機能しないし、逆の状況で民主党がやってきたことがすべてブーメランになって戻ってくる状況で、これをどう処理するかというのは政治力学の側面からも(いや私はそちらの面にそう造詣があるわけでもないのだが)注目だろうし、新たなルール形成という側面からも面白いだろう。難点はほぼ確実にその過程で大混乱になるだろうということと、そこにおいて私が純然たる観察者ではなく我らが政府の被治者という面も持っているために必然的にそれに巻き込まれざるを得ないという点にあるわけだが。
あ~この程度でも騙される人多いんだろうなあと思った話。「一般職員もビジネスクラス使えます 独法・国立大の6割」(MSN産経ニュース)で、「独立行政法人と国立大学法人の約6割が海外出張規定で、役員以外の幹部や一般職員に対し航空機のビジネスクラス搭乗を認めていることが29日、財務省が行った平成22年度の予算執行調査で分かった」と言うわけですが。
まず本記事の(ある程度やむを得ないとはいえ)不正確なところ。「政府では本省課長以上が原則のビジネスクラスの利用」と書いてあるが、そのような規定ではない。正しくは、「国家公務員等の旅費に関する法律」(昭和25年法律114号)の第34条に外国旅行の航空運賃に関する規定があり、要するに「指定職(......)、七級以上の職務にある者」はビジネスクラスを使っていいと書いてある。一般的な行政官に適用される行政職(一)俸給表の七級というと本省の室長(課長級)になるので(人事院規則9-8)、結果的に「本省課長以上」ということになるのだろう。じゃあ行政職(一)以外の場合はどうするかというと、それぞれの俸給表のランクをどのように行政職(一)に対応させるかという読み替えのルールがある。たとえば海事職(一)の場合に職階として設けられているのは「船長」とか「機関長」とかであって「課長」なる人がそもそも存在しないのであるが、行政職(一)七級以上に相当するのは海事職(一)六級以上という規定があるので(正確にはこれは昇給幅を抑制する給与法8条6項の適用対象に関する読み替え規則なので旅費の場合は違いがあるのかもしれないが)、「大型船舶(一種)の船長若しくは機関長又は困難な業務を処理する一等航海士等」が該当するのだな、というようなことがわかるわけである。
京都の寺社がお賽銭としていただいた外国コインの始末に困っているという話(さい銭の外国硬貨、両替困難...ユニセフへ寄付の動き拡大(asahi.com))。アンコールトムに行ったときに現地の尼僧さんに呼び止められて、手の平の上にコインを乗せて差し出されたので何かと思ったら日本の百円玉とかで、ガイドさんが説明してくれたところによるとやはりお賽銭でもらったものの始末に困っているという話。おまえ日本人だろう何とかしてくれと言われて申し訳ないので多めに米ドルに替えて帰ってきましたがまあその迷惑をかけないように。しかしそのとき日本人他にも大勢いたのになんで私だったのかなあ。
参議院衆議院の衛藤副議長が民主党の議事運営について批判したのが「異例」だとして民主党関係者から批判されているらしく(「衛藤副議長が与党に苦言? 民主「唐突」と反発も」MSN産経ニュース)、つまり通常はこの種の発言をする場合には事前通告するものだということのようなのだが、事前に言ったら本会議やらないつもりだろ? と思うわけで、というかこういうことをする人々が言えるようなことではないよねえ(「民主、問責提出の参院本会議開催を異例の拒否 参院選、7月11日投開票正式決定」MSN産経ニュース。ちなみに事実自体は、たとえば朝日新聞も報道している。たとえばマイタウン鹿児島「さあ参院選 各陣営が本格始動」(asahi.com)には、「再選を目指す自民の野村哲郎氏(66)は、参院本会議のため、東京に足止め。結局、民主党側が本会議を開かず、流会で会期を終了した。」との記述がある)。
最後の辞める辞めないの局面になってもぶれ続けるというのも一貫しているというかなんというか(挨拶)。最終的なとどめになったのは普天間基地問題なのだろうけれども、これに典型的なように、結局野党時代から政権獲得を目指して言ってきたことが全部自分たちの頭の上に戻ってきましたという話だったなと――政治資金問題、基地問題、危機管理問題、支持率問題まで全部含めて――思うわけである。まあだから、ブーメラン内閣というまとめでいいんじゃないでしょうかね。
ある方から伺って大変に感じ入った話に「政治家にとって重要なのは何を言うかではなく、何を言わないかだ」というのがあるのだが、その面のコントロールがまったくできていないことで有名な山岡賢治・民主党国会対策委員長がかつての国会審議をプロレスにたとえたところプロレスの中の人から怒られましたという愉快な件について(「民主・山岡議員が「八百長」発言 プロレスラーが「侮辱だ」と「公開質問」」J-CAST)。
え~私自身はプロレスに関する見識がまったくないのでその辺に関する言及は避けますが、まあ実際問題としてかつての国対政治と言われるものが与野党間の妥協と駆け引きと演出と儀礼的要素に満ちていたというのは本当のことで、それは中島誠『立法学序論』や大山礼子『国会学入門』にも書かれてきたことであるし、私もねじれ国会問題と関係して紹介したことがある("Twisted Diet: A Failure in Legislating Politics in Japan", Legisprudence, vol. 2, no. 3, 2008.)。
なんか民主党・小沢幹事長の政治資金問題が再度不起訴になったのを受けて検察審査会がどうするのこうするのという時期にその検察審査会のあり方に小沢「起訴相当」議決が出たあとからぐだぐだ言い始めた民主党の副幹事長が事務局に電話したのが圧力じゃないのかとかそういう話が出ているわけだが(「民主・辻副幹事長、検察審事務局に接触 検察審側応ぜず」(asahi.com))、念のために言うと2009年の制度改正で起訴議決制度を導入したことの当否についてはいろいろ議論のあるところで、典型的にはJR福知山線脱線事故で歴代社長3人に起訴議決が出たことなどについて伝統的な刑法理論の「過失」概念を大きく踏み破るもので問題が大きく、結局「わるもの探し」によって人権保障がないがしろにされる結果につながるというような批判はされており、明石花火大会歩道橋事故とか脱線事故の事例から一貫してそういう主張をしている人は(賛成するかどうかは別として――というのが実は「ホラーハウス/ミラーハウス」の議論なわけですが)尊敬するに値すると思うわけだが、それはともかくとしてん~なんかその辻恵議員というのがそもそもどういう人かという話を誰か言った方がいいのではないかと思うわけである。
鳩山一郎とはどういう政治家だったかという話をにこにこしながら留学生向けの英語講義で披露している(挨拶)。さてなにやら以下のような大学ができたというので一部で話題になっているようである。
でまあその「日本人も学費不足で大学に行けないのに留学生には奨学金かよ」とか「こんな大学にも助成で税金が使われてるんだろ」とか怒っている人もいるようなので誤解は解いておくべきかなと思って多少書く。つうか最近特に前者関係でデマコピペをあちこちで見かけるようになっていて、多少むかついているところがあるのでね。
大した内容の記事ではないがまあダメだねえ、というものを見たのでひとつ。「逆風民主、市議選では6議席増 自民は22議席の大幅減」(asahi.com)。要するに「自民党が市議選で議席を大幅に減らしている。57市議選が集中した4月だけで選挙前の60議席から38議席に激減。一方、普天間問題や「政治とカネ」の問題で支持率下落が続く民主党は21議席から27議席に増加。逆風の中で踏みとどまっている。」というのが言いたいらしいのだが、あのねえ、そういう基準で測定すると地方議会というのは共産党と公明党が二大勢力として覇権を競っているということになるよ。記事にも書いてある通り「公明党は97議席から100議席に。共産党は119議席から108議席、社民党は24議席から20議席という結果だった」んだから。
隣の駅(各停しか止まらない)の駅前にある医者に寄ってから名古屋駅に出る必要があり、診察が終わって駅に戻ったらちょうど出発したところで次が30分後。癪だったので新幹線で移動してみましたがなにか(挨拶)。いやこの春からTOICAでも定期券区間内であれば新幹線が利用できるようになったので一度やってみたかったというだけのことです。そちらも15分くらい待つ必要はあったのですが、各停から快速に乗り換えると30分くらいかかるところこだまでも10分だからねえ。これも各停か?
さてハノイ・ホーチミン間に日本の新幹線技術による高速鉄道を敷設する方針が決まったそうで(asahi.com)、めでたい。というわけで、ハノイの鉄道事情を少しだけ写真で紹介する。これは2002年に撮影したものなので現状とは若干違うのだが、まあ何故に高速新線が必要かということはよく理解していただけるのではないか。
前にも書いたことがあるような気がするが私の家には冬のモンゴルでだけ着る上着というのがあり、何かと言うとセントラルヒーティングが効いて暖かい室内ではスーツ姿でいる必要があり、しかし屋外はマイナス30度である。車に乗るまでのせいぜい15分であるが何を着たらいいだろうかとアウトドアショップに相談したら普通は防寒対策というのは重ね着で対応するのだがそういう事情なら仕方がないのでこれが一枚で暖かいからいいのではないだろうかと言われた新素材のワタ入りモコモコを素直に買ってきた。なるほどその通り大変に暖かくて無事に過ごせたのだが何分そういうものなので国内で着ると暖かすぎて往生する。今に至るまで、モンゴルから成田経由で直接行ったアメリカ北東部で一度着た以外はウランバートル以外の場所で着たことがない(モンゴルでは三、四回は着た)。
なんか「名大の研究」の冊子体ができましたということで本部から10部送ってきたわけですがいやそのモノを貰って悪態をつくのもどうかと思うがこんなもん私がもらってどうしろというのかてめえの顔なんか鏡で見飽きてるし親戚にでも配れっちゅう話なのかね出来上がりの確認はそりゃしなきゃいかんけど一部か二部かあればいい話でそれ以上あっても研究室の場所ふさぎなんだが(挨拶)。ちなみに写真も「わかりやすいから」とかいう理由で模擬法廷で撮られましてこれもまあ半分捏造だよね私の研究法廷と関係ないもの。ちゃんと笑顔で写っていますが目が笑っていないのはそのあたりが理由です。さて。
障害者権利条約をめぐる動きについて紹介した記事(「障害者の権利条約知って 公定訳文案冊子で紹介」Yomiuri Online)のなかで、「integrity」という用語の翻訳が話題になっている。
「裁判員裁判で通訳ミス多数 専門家鑑定 長文は6割以上」(asahi.com)という話があって、まあこれは被告人の発言がどの程度訳せていたかという問題なので前のエントリで言及した点とは多少ずれるのだが(被告人に「翻訳しやすいように話しなさい」と勧奨するというのは、まあちょっと現実的に難しいよね)、このへんが特に審理時間をあまり伸ばすわけにもいかない裁判員裁判では問題になってきますよというスジで、ちょっと言及しておく。
でまあ当然ながら「法廷通訳の能力を引き上げるべき」とか「あとからでもちゃんとした翻訳を配れ」とかいう意見が出るし、それはそれで否定したくはないのだが、どうも報酬もそう高くはないようであるし、仕事量にも大きな変動があるしで、優秀な人がやりたくなる仕事にはできないんじゃないかな。裁判官・検察官・弁護士の発言部分については事前に原稿が配られていることも多いそうなのでその場合には準備もきちんとできるんだろうけど、逆に(今回問題になった)被告人質問はぶっつけ本番になるわけだし。それとは別に、答えやすい質問・答が複雑にならないような質問をする技術を法曹側が実践していくという解決策もあり得るかな、そのあたりに(日本語教育学と法学の双方で)研究シーズが埋まってるかなという気がした。自分でやる気はないけど、つうかいま抱えている原稿だけですでに死にそうだし私。(3/24公開)
まあおおむねダメのひとというのには二種類おり、昔は良かったのだが途中でダメになってしまった人と、最初からダメだった人である。後者の亜種として期待したほどは伸びなかった人というのがおり、これは別に検討する必要がある。
12日にアラバマ州ハンツビルの大学で発生した同僚射殺事件に関する国内報道がもろもろなので簡単にまとめてみる。
えらいことご無沙汰でした。別に何があったというわけではなく、累積原稿債務の整理を優先していただけなのですが、この間も行政負担がいっこうに減らない(というか入口がさらに増えた)こともあっていっこうに芳しくなく、じゃあどっちにしろ同じじゃねえかと思ったこともあってまた出てきました。というかこういうのもちょっと間が空くとおっくうでいけませんな。この間に公開された仕事などについては、追って補完します。さて。
陸上自衛隊の連隊長さんが「同盟関係は『信頼してくれ』などという言葉で維持されるものではない」云々と会合で挨拶したことに対して北沢防衛相が「外交における政府の意思決定をないがしろにする行為」とご立腹だという件(「陸自連隊長発言「首相を揶揄、許し難い」 北沢防衛相」asahi.com)。こういうのは、いつも書いていることだが、法的な次元と政治的な問題に分けて考えるのがよろしい。
Recent Comments
尾崎w すごく分か
s-show on 一般職員とビジネスクラス:
初めてコメントします
Polyhedron on 傍論(5・完):
勉強になります。 法
TK on 一般職員とビジネスクラス:
昔の旅費法しか知らな
いなば on 除籍処分:
え、そんなこというて
匿名希望@一言多い on 傍論(3):
余談ながら、本当にた
匿名希望@お勉強中 on 傍論(3):
参院選が終わりました
TK on 傍論(2):
判決理由と傍論の議論
おおや on 段取り:
>蜃気楼さん ご指摘
おおや on アテネ民主政(1):
>gryphonさん