時事: 2008年Archive Index
実家に寄ったので読売を読んでいたら、秋葉原の連続殺傷事件は人を取り替えのきく部品のように扱う現代社会の帰結で犯人を暖かく包む伝統社会とか共同体とかがあれば起きなかったのではとか書いている人がいてええと津山三十人殺しってどういう時代に起きたんだっけ(挨拶)。世話好きおばさんがいたら非モテでもお嫁さんとか来てくれて幸せになれたのではとかいう趣旨のことが書いてあったような気がするんだけど、匿名性が高くて属性を隠蔽できるネット上の掲示板ですら「こいつなんかヘン」だと気付かれちゃうような人間の居場所が閉鎖的で固定的な共同体にあるわけないじゃん。村中から後ろ指差されて違う形で暴発してただけなんじゃないの、とは思うところ。
確か落語だったと思うのだが、「一つ目の珍しい人間がいる」と聞き込んだ興業師が捕まえて見せ物にしようとその村に忍び込んで捕まり、村人は全員が一つ目だったので「二つ目の珍しい人間がいる」といって見せ物にされてしまうというのがあった。Apeman氏の新しいエントリを読んで思い出したのは、そういう話。
第一に誤字が問題になるのはそれが誤字であるとわかる人々を対象にしている場合であって、そうでない生活環境とか知識水準の人々を動員しようとしているなら政治的には別に差し支えないわけである。というかむしろ広く一般大衆に話すときに「病膏肓に入る」を「こうこう」と読んだり「遺言」を「いごん」と発音したりすると「え~字も読めないんだプギャー」とか言われてしまう可能性があり、こういうトラブルを避けるためには専門的に権威づけられた知とかそれと同一化している自己の知識水準とかを棚上げして語りかける対象の心性を想像し、それに寄り添う必要があるわけである。
ところでじゃあ民青を「チビ官僚」と表記するというのは誰のどのような知識水準を想定しているのか。知的水準ということで言えば単純な誤字よりこの方が恥ずかしくないようにも思うが、動員対象への訴求可能性という政治運動としての評価基準から見た場合、まだ優れているのは誤字であって「チビ官僚」ではない(誤字は誤字として認識される限り「本当はどう書きたかったのか」が対象に理解されている)。これが理解できないのは結局Apeman氏が自分と異なる他者の存在を想定することができず、従ってそのような人々に訴求する営みとしての政治を理解できないことの現われである。
第二に、前エントリで私が主に批判したのは(たとえば「チビ官僚」のごとき)表現の形式であり、内容としてのエコロジー批判には一定の正当性があり得るかもしれないことを十分に認めている。しかしApeman氏が右翼のレベルが低いことの例として挙げた一つ目は確かに誤字という形式面の問題だが、二つ目は形式としてはむしろ一般人への訴求のためにがんばってみましたという例であって(それが十分に成功しているかは疑問だがまあ「無防備マン」よりはましに見える)、レベルが低いのは表現の内容だろう。これが私への批判として機能し得ると考えるあたりに、Apeman氏が表現の内容(ベタ)と形式(メタ)を区別できないことが示されている。
以上のまとめ。
- Apeman氏にはメタレベルの言説とベタのものの違いが理解できない。
- Apeman氏には自己と他者の違いを認識する能力がない。
つまりあれだけ言われても一歩も前に進めませんでしたというのが、本件の結論であると評価して良かろうと思う。
朝起きたらテレビで「モンゴルに非常事態宣言」というニュースをやっていたので電車に乗り遅れました(挨拶)。いや講義には間に合いましたが。幸い日本法教育研究センターの教員については無事が確認されましたが、このニュースにシリアスな利害関係のある人日本にどのくらいいるのかなあ。いまは観光シーズンだから結構いるかな?
すいません、テキトーなこと書きました(挨拶)。いやよく考えたらNHK事件に関する判断の根拠は放送法3条に定められた編集の自由であり、同3条の2にある公正中立義務などを守るために被取材者の期待に応えられない可能性があることを被取材者も当然に知っている[はず|べき]であるというのが論拠の一つであるところ、同法はもちろん映画には適用されないので『靖国』事例においては被取材者の期待をより強く保護すべきという主張はあり得るのでした。もちろん根本的なのは放送にせよ映画にせよ表現の自由との対立であって、被取材者には取材に応じるかどうかの選択の自由がある以上その期待を過剰に保護すべきでないという考え方のスジは共通であり、私自身は映画についても最高裁判決の論旨でいいのかなあと思うところではあるが、保護可能性の主張を全面的に排斥した点は誤りであったかと思う。でもApeman氏がツッコむのはそこじゃないのね。
なんかまた霞ヶ関からえらい人が来るので日本法教育研究センターに関するご説明とテレビ会議システムの実演をするようにと命が下り観光ツアーガイドか私は(挨拶)。まあもう慣れたものなので構わないといえば構わない。
さてその間にどうやら民主党が首相の問責決議案を参議院に提出し、野党の賛成で可決したようである。まあご自由にどうぞ、というのは別に馬鹿にしているわけではなくて、問責決議というものにはそもそも法的根拠が存在しないので(法的強制力がないどころの話ではなく、そもそも根拠規定が存在しない)、それは法的な次元の問題ではないねえと思うからである。もちろん法的根拠がないからやっていけないということではなく(禁止規定だってないわけである)、しかし一定の要件に効果を結びつけるという法的規範がない以上その効果が法律に基づいて決まるわけではない、というか何が起こるかよくわからないわけであって、それを予測したり評価したりするのは政治学者や政治評論家という種族の人たちの仕事だろうと思うわけである。
いや終電後にタクシーで帰宅する霞ヶ関のなかの人たちがビールだのおつまみだの商品券だのをもらっていたという一件。正直そういうタクシーの使い方をしたことがほとんどないのでよくわからないのだが(というのは別に清廉潔白を気取るわけではなくタクシーチケットのもらえる仕事でもできるだけ自腹で地下鉄を使って移動するようにしているくらいタクシーというものが好きではないので、まあ必要なら使うのだがとにかく相手が気を遣って話しかけてきたりするのに対応しないといけないようなシチュエーションが嫌いで床屋も会話がないのを狙って安いところに行くとかおねえちゃんと楽しい会話のできる飲み屋さんとかに絶対自分からは行かないとかとにかく偏屈な人間だからなのであるが)、普通に都心から長距離で乗ればよくあるサービスだという人がいてそうかなと思い、しかし現金とか商品券はやはり割り戻しであってまずいのではないかと思うとスタンプカードが満点になると商品のもらえるシステムだったという話もあって定価販売のはずの本屋でさえポイントカード制が普及してきたこのご時世だとそういうサービスを考える人もいるのかなあたとえば「5万円乗ってくれたら500円の図書券サービス」だったら目くじら立てるほどでもないのかなあとあまり定見なく見ているのだがしかし朝日の社説はひどかった。「居酒屋タクシー--これで負担増を言えるか」(asahi.com)。
「法科大学院の底上げ検討、必須科目の拡充を軸に」(Yomiuri Online)
司法制度改革で法科大学院の設置が決まった際、修了者の7〜8割は司法試験に合格することが理想とされたが、昨年の新司法試験の合格率は全体で4割にとどまった。個別では最高の千葉大法科大学院でも約65%で、一けた台の学校も目立った。教育内容が水準を満たしていないなどとして大学などの評価を行う独立行政法人「大学評価・学位授与機構」などから「不適合」とされた大学院は5校に上り、評価を受けた24校の2割を超している。このため、日弁連など法曹関係者から、コア・カリキュラムの策定を求める声が出ていた。
馬鹿なの? 馬鹿のふりをしているの?
なんかまた夜のあいだに過負荷でサーバが落ちていたので、むりやりスケジュールを空けて更新してみましたがどうでしょう(挨拶)。PentiumIIIの頃のCeleron 500MHzから一挙にPentium4 2.4GHzだかになっているわけで、まあ普通にサーバ類を動かしてる分には大差ないような、ブログの再構築とかCPU負荷のかかる作業やるとまったく動作時間が違うなというか。
おなじく若干の補足。
池田信夫先生からの問いに関して。まず非常に端的にお答えすれば「そんなもんなくて済めばそれに越したことないと思います」ということであって、ただ官僚とか国家のパターナリズムが問題だというのはおっしゃる通りだけれど親のパターナリズムや教育放棄も問題だし、市場にも一定の場合に「市場の失敗」があることを考えると、まあ結局弊害のもっとも少ないようになんとかやっていくしか(総論としては)ないんじゃないですかということになろうかと(なので私はリバタリアンでなくリベラルなのですね)。
ようやく3月が終わったと思ったら即日動員が下令されたわけですが何か(挨拶)。というわけで書類提出締切までのあいだ拘束されておりますのであまり反応できません。あしからずご承知おきください。なんか去年もこんなことがあって自分の研究助成の書類書けなかったんだよなあと思うわけですが。どうなのかいろいろと。
でまあその、ちょっとだけ補足。
というわけでいずこからか法案が送られてきたので検討してみたよ(挨拶)。この忙しいのに何でこんなことに orz と思わなくもないが、まあ心配している人多そうなので。とりあえずみんなが不安に思いそうなところは検討できたかと思うけど、必要があればこのエントリに加筆していきます。ので、特定時点での私の見解を確定させたい人はお手数ですが魚拓でも取ってください。削除の必要があれば見え消しでやります。
以下まず注意点。
うんまあ、公表された言論について批判するのと公開前に批判を加えてそれを制約しようとするのとではやはり違うし、「そもそもあんたら見てから批判してるのかね」と言いたくなるところもあるので、もちろん気にくわないわな今回の騒動は。『プライド・真実の瞬間』のときになんかいろいろした人たちがいなかったっけとか言いたくなるところはあるし、そのときうごめいたなかで実際に見た人たちがどれだけいたのかねとは思うけどな。いや私自身も見てないし、どちらか片方タダで見せてやると言われたら『靖国』にするけど。
お知らせいただいたところによれば拙著『自由とは何か—監視社会と「個人」の消滅』ちくま新書)が『中央公論』誌の特集「新書ベスト30」に入選したとのことであります。めでたい。ご推挙いただいた皆さま、ご購入いただいた皆さまに厚くお礼申し上げます。これから買うという方にも先にお礼申し上げますので是非買ってください。
でその、『中央公論』を一生懸命探して確認したわけですが(ちょっと生協に行く暇もなかったので街の書店で探したらなかなか置いてないんだこれが)14位タイで10冊以上並んでるなかの一冊というか掲載中最下位というかいやまあもちろん載っているだけありがたいわけだがなかなかこの微妙なところが素敵。しかも採点方法から推測するに60人中1名の方に1位にしていただいたのか2人の方に2位にしていただいたかの点数でありこのターゲット領域の狭さが我ながら自分らしいというか何というか。いや私自身としては知的な高校生であれば理解できるくらいのレベルで書いたつもりであり、それは売れる本を書いて埼玉ゴズニーランドに行きたかったからですが、なんか根本的に生き方が間違っているのではないかと反省することしきり。にもかかわらずご評価いただいた方には深くお礼申し上げます。
さて、法科大学院修了者を対象とした新司法試験は先頃第2回の合格者が決まり、すでに司法修習に入っているところ、今年は昨年と違って前期修習(司法研修所で全員を対象に行われる修習)なしに直接実務修習入りしたそうで、それは怖いということなのか愛知県弁護士会が自主的に事前研修を組織したという話について。
起きたらえらい雪だったので帰れるかどうか心配しましたが新幹線は無事5分遅れ程度で運行しておりました(挨拶)。というわけで雪の豊川稲荷ですが、しかし引きがいいな我ながら相変わらず。
さて前のエントリにちょっと補足。
日教組のケースの場合、騒ぐのは本人ではなくて街宣右翼なんだからアナロジーが成立しない、ということはない。ホームレスのケースで、実際にホームレス本人は静かにコーヒーを飲んで帰ろうと思っていたとしても、ホームレスになったことについて本人に過失が一切ないようなケースだったとしても、さらに言うと実はホームレスではなくてそういう扮装をする趣味のある大金持ちの老人でにおいもしなければ座った場所に汚れもつかないですよ? という場合でもホテルは彼を追い出すだろう。何故ならホテルが気にするのは彼に関する《真実》などではなくて周囲の客の彼に対する《印象》、さらに言えば「ホームレスのいる場所にいる自分」という周囲の客の自意識だから。
とりあえずホテルが公的施設だという意見は初めて聞きました(挨拶)。あのね、朝日新聞の論説委員さまがお泊まりになるようなホテルのロビーにホームレスが入ってきたら出ていってもらうだろうし論説委員さまもそれを期待するでしょ? たとえそのホームレスがロビーでコーヒーを飲みに来たと主張して実際に二三千円出して見せても追い出すでしょ? それが許される施設のどこが「公的」なんだよというか法的独占も競争規制もない私企業が「公的」なわけないだろというか。なお参照、朝日新聞社説2008年2月2日。
たいしたことでもないが、「自費出版大手「新風舎」、再生法申請へ」(asahi.com)という話について、これが出版不況とか自費出版の売れ行きがどうこうという問題とは無関係だということをメモしておこうと思う。というか本当の「自費出版」なら出版費用は作者がすでに全額出しているので売れようが売れまいが出版社の経営にはまったく影響がないはずだろうと。
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みつけた と思う。こ
鰤 on 結構難しい。:
朝日はいっかい紙面に
モトケン on 医療過誤問題管見:
はじめまして 小倉
mohno on 医療過誤問題管見:
おじゃまします。
鰤 on 医療過誤問題管見:
法政大の山口誠一先生
koge on 先取られ。:
いやこれまでの実績か
おおや on 読書まとめ:
>名無し予備自衛官さ
おおや on 先取られ。:
>鰤さん まあ確かに
おおや on 幻想の共同体:
>kogeさん トラ
おおや on on rehabilitability:
>ktkrさん 「こ