読書: 2004年Archive Index

立花隆氏講演「電子書籍は、なぜ飛躍できないのか」。飛躍できていないという現状認識とその理由については正しいと思うが、そのあとを見るとこの講演の何がありがたいのかさっぱりわからない。

仕事を一つ終わらせたら、その日のうちに二つ増えました。いやあの、ポケットの中のビスケットじゃないんだから、ほんとに(挨拶)。さて面白い本を読んだのでご紹介。著者は『クソマルの神話学』(青土社)で名を挙げた人。

  • 東ゆみこ『猫はなぜ絞首台に登ったか』光文社新書、光文社、2004。

今回は、ホガース「残酷の四段階」(Willam Hogarth, The Four Stages of Cruelty)に描かれている動物虐待の光景と、1730年代後半にパリの印刷工場で起きた「そこに勤める職人たちが、猫を一匹残らず集めてきて、皆殺しにする事件」(p. 52)を題材として、その背景にあるものを探るという筋書き。後者の事件で印刷工たちが猫を裁判にかけていたというのが題名の由来ですな。

遠くから見ることしかなかった人だから、今日は遠くから偲んでいよう(挨拶)。さてネタ拾いの一環として『ユリイカ』(青土社)4月号の押井守特集「映像のイノセンス」を通読する。とりあえず同じことを言っている人はいなさそうなので安心。いや張りあおうとかいう気概は別にねえのですがネタがかぶってると恥ずかしい。

参考になるのは斎藤環氏、まあ精神分析批評なので当然かも知れんけど。テクニカルな観点から論じている阿部嘉昭氏のは勉強になるけどよくわからん(「ショットが存在しない」というそのショットとは何ぞや)。破綻なく上手くまとめている大澤真幸先生。相変らず分析するだけというか、「で、何が悪いんですか?」(and so what?)と聞きたくなる論調だがさすがに破綻がない。上野俊哉氏は押井監督相手の対談ではうまくまとめていたように思うのだが単独論文では変な政治色(というか私がよく苛立つところの「書くなら勉強してからにしろよ」感)が匂うのでもう一度注意して読むかな、暇になったら。ここまでが面白かったサイド。

菊田幸一『日本の刑務所』などを読んでいたわけです。最近は教養の法学を教えたりしているので、専門以外で普通の学生が興味を持ちそうなところも押さえておかないといけないし、くらいの動機で。しかしこれはいったい何だろう。

新書2冊

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モンゴルからの帰りに読んだ新書2冊。期せずして歴史関係ですが。

  • 長山靖生『日露戦争: もうひとつの「物語」』新潮新書、新潮社2004。
  • 小田中直樹『歴史学ってなんだ?』PHP新書、PHP研究所2004。

そんなことをしている暇があるのかと小一時間(略)。平行して読んでるからなかなか読み終わらないんだよね。うち1冊はハズレでしたので省略。

  • J. L. キャスティ『ケンブリッジ・クインテット』藤原正彦・美子訳、新潮社1998。←John L. Casti, The Cambridge Quintet, Addison Wesley, 1998.
  • 伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』、名古屋大学出版会2003。

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