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給与水準

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ハローワークの利用者には凶暴性があるから特別手当が出るそうなので我々大学教員についても検討してはどうかと思いました(挨拶)。いやあの学生のメンタルヘルスも昨今問題なのですが無実を訴える一面識もない人から本やパンフレットが届いたり集団ストーカーの被害にあっていると主張する人が相談相手を求めて研究棟の廊下をうろついたり。一応高い本とか設備とか人間とかが集まっている場所なのでもう少しセキュリティとかを考えてもらえないかと思うところはあるのです。まあ強化したらまっさきに破るのはきっと教員だが。ええと、「ハロワ職員 「失業者は凶暴性を有する者もあり」と特別手当」(NEWSポストセブン)の話。

人事院が公表している国家公務員(行政職)の今年度の平均年収は637万円。それに対して国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、民間サラリーマンの平均給与は平均412万円だ。

調査方法をきちんと見ればわかるんだけど、公務員の方は正確には行政職(一)の数字。つまり常勤の・民間で言えば正社員に当たる部分で、かつ守衛・用務員・自動車運転手など行政職(二)を含んでいない。それに対して国税庁の調査は民間事業所で給与所得を受けているもの全員が対象なので(*)、パート・アルバイトを含んでいる。数字の水準に違いがあって当たり前だよねえ。

ちなみに国税庁調査(H21)を見ると、従業員5000人以上の事業所における平均給与は492万円だが、男性668万円・女性251万円と大きな格差がある。従業員10人未満の場合、平均給与は329万円(男性406万円・女性236万円)。ここからは、(1) 実は大手民間の男性正社員と公務員(正規)とで大きな格差はないこと、(2) 小規模民間の男性正社員とではおそらく格差があること、(3) 民間においては不正規雇用に伴う男女間給与格差が非常に大きいこと、が見て取れるだろう。公務員の場合には(3)に相当する男女格差が小さいので、全体として見れば高めになるわねえという気もする。なおこれを踏まえて公務員の給与水準がどうあるべきかということは別に検討すべき課題であり、まあ私自身は全体の水準は現状程度が望ましいのではないかと思うところもっと低くてもいいという意見もあり得よう。しかし男女間格差については公務員側のほうが正常な状態であり、民間が女性を非正規で安く使い捨てる結果として平均給与が下がっているから男女とも正規雇用である公務員の水準をそこに近づけろという意見は頭おかしいよねえと思う。

なお、記事に登場する若林亜紀氏の指摘はそれ自体としては基本的に正しく、人事院が官民の給与格差を考慮する際の基準となっているのは行政職(一)なので、民間では役員にあたるような指定職は含まれていないし、超過勤務手当については変動するという理由で含まれていない。しかし指定職というのはそもそも900人弱しかおらんわけで、それが15万人いる行政職(一)をもとにした数字にどれだけ影響するかといえばしませんとしか言いようがない。また、記事のその後に出てくる地域手当や広域異動手当については人事院の統計に含まれているので、そういう手当がいいかどうかという議論は別にして官民格差の原因ではない。

また、「2010年度の国の予算書にある人件費を、国家公務員の人数で割ると、平均809万円。これが人事院の公表より実態に近いといえる。」という記述については根本的に謎で、つまりその国の予算書に「人件費」なんて項目ないよねえ。あんまり堂々と書かれてるんでなんか自分でも自信がなくなってきており、間違っていたらぜひ指摘していただきたいとは思うのだが、予算書にあるのは各組織ごとの「職員基本給」「職員諸手当」「超過勤務手当」といった数字であり、たとえば内閣府でも北方対策本部・国際平和協力本部・日本学術会議などの組織で別々に計上されているのでむしろ本当の人件費総額はいくらなのかがわからないといって批判されていたはず(非常勤職員手当なんかはまたプロジェクトごとに計上されてたりするしな)。使途別分類が「人件費」になっている経費を集計することは可能だろうが、それはつまり5ケタ-5ケタ-2ケタのコードの10ケタ目が1になっている項目を抜き出すということで、かつ退職手当とか公務災害補償費とか子ども手当とか非常勤職員手当とか全部含まれてるのでそれを在職する正規公務員の人数で割った数字が何を意味するのかはまったくわからない

まあ全体的には統計の読めない人が自分の見たいようにデータをねり回して意味のない数字を並べたのですねという記事であるところ、そもそも週刊ポストだそうなのでああ、ねえという話で終わるのであった。どっとはらい。

(*) 正確には、全従業員について源泉所得税を納付していない事業所の労働者、いわゆる日雇い労働者が除かれている。

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Comment(3)

おおや@シアトル さんのコメント (2011年10月19日 09:13):

なお「どっとはらい」は「とっぴんぱらりのぷう」の同義語です(こら)。

公務員嫌い さんのコメント (2011年11月 1日 11:55):

国税庁のH21調査ですが、

従業員が        人
10人未満 10,609,250
10人以上 8,123,428
30人 〃 8,756,872
100人 〃 11,496,858
500人 〃 4,011,404
1,000人 〃 7,036,198
5,000人 〃 4,933,363
合 計 54,967,373

そもそも公務員は全国民の1割もいない超大企業の専門職を基準に人件費を決めて居るんですね。
それであの生産性・・(笑

おおや さんのコメント (2011年11月 2日 12:43):

(1) 事業所規模の問題を考えると(もう公務員ではないですが)名古屋大学単体でも給与所得者数5000人は軽く超えているので、全体としてその水準で比較するのが当たり前なんじゃないのと思うわけですが。もちろん、たとえば地方公務員について職員数数十人の町村なんかはその規模の企業と比較すればいいのではないかという発想は否定しません。

(2) 比較対象は5000人以上の事業所の従業員(パート・アルバイトを含む)・役員なので、たとえば銀行の本店であれば頭取からエリート幹部社員から窓口で働いてるかつての高卒一般職正社員から現在では非正規雇用化しつつある人々からもうあまり直接雇用してないだろうけどいるとすれば警備員のおじさんまで全部を含んでいる数字です。あるいはトヨタの工場であればやはり減っているであろう高卒正社員とか、派遣工とかパートとかも含んだ数字。まあ、でないと平均668万円とかいう数字になるわけないよねえ「超大企業の専門職」ならすぐにその水準超えちゃうわけでさあと思うわけですが。

(3) そんな大雑把な数字で比較していいのかようと思う人もいるかもしれませんが統計というのはそういうもので、これ以上詳しく検討するには、たとえば同一学歴層の所得比較とかセクターを細かく区切って数字を見るしかないけどそういう統計を集めるのは難しい(個人のプライバシーにどんどん接近しちゃうしね)。でまあ実例とかをベースに考えるしかないわけですがやっぱり「民間正社員>公務員>非正規雇用」という結果になるのではないですかな同一の母集団からは。

(4) しかし公務員の生産性が低いとかいう人が、第一に何を根拠として「低い」と言っているかは非常に気になり、というのはそもそも生産性の定義が難しいから成果主義が導入しにくいよねえという話になっている。測り方がわからないものを「低い」とは言えないよねえというのが片方。第二に、しかし実感レベルの話として言えば普通の人が見る範囲の公務員の生産性が低いとかいう人はあれだね他の先進国の公務員の仕事っぷりを見たことのない人だね。所詮我々は公務員が信頼できる国で彼らの仕事っぷりに文句を言っているんだってのは、他所の国に行くと思い知ることだと思うんだが。

(5) なお上記の数字は事業所規模による分類なので、大企業の場合には給与支払いの手続きをしている支社とか工場の単位で分割されています。企業規模で見ると資本金10億円以上の企業の給与所得者数が9,054,106人、1億円〜10億円が6,505,934人で、合わせると全体の28.3%。「その他の法人」12,507,876人にはさまざまな規模のものが含まれているだろうということで株式会社の給与所得者に母数を絞れば40.0%になります。別段そう少ない割合ではないよねと、まあそういう話。


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