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だめ記事
大した内容の記事ではないがまあダメだねえ、というものを見たのでひとつ。「逆風民主、市議選では6議席増 自民は22議席の大幅減」(asahi.com)。要するに「自民党が市議選で議席を大幅に減らしている。57市議選が集中した4月だけで選挙前の60議席から38議席に激減。一方、普天間問題や「政治とカネ」の問題で支持率下落が続く民主党は21議席から27議席に増加。逆風の中で踏みとどまっている。」というのが言いたいらしいのだが、あのねえ、そういう基準で測定すると地方議会というのは共産党と公明党が二大勢力として覇権を競っているということになるよ。記事にも書いてある通り「公明党は97議席から100議席に。共産党は119議席から108議席、社民党は24議席から20議席という結果だった」んだから。
当然ながらタネはきわめてシンプルな話で、記事にも登場する自民党選対の幹部が言うとおり「市議レベルでは保守系無所属の議員が多い」こと。逆に共産・公明両党は所属しているかどうかがかなり明確で、きちんと党籍を明示して立候補している。もちろん自民党系の議員の中には「前回は自民公認で当選した市議たちが今回、無所属で出馬した」(自民党関係者)と書いてあるように、内実は変わらなくともラベルを隠した人たちがいる。逆に、民主党系には従来公然とはさせていなかったラベルを表に出した人たちがいたのだろう。しかし、いずれにせよこれは自民党と民主党のどちらが政権党になっているか(そことのつながりをラベルとして誇示した方が有利と思われるかどうか)ということに関わっているので、昨年の政権交代以来の長期トレンドは示しているだろうけど短期的な勢力変動を見るには不適切だろう......両方の影響がごっちゃに出ちゃうからね。
でまあ、こう端的にくさすのは短期的な勢力変動を見たいのならもっと適切な手段があると思うからで、選挙後に成立する会派別の勢力を調べなさいよ、という話。現代の議会民主政は良かれ悪しかれ議員集団を単位としていて、委員会の役職配置や質問時間の割り振り、議会運営に関する協議などもこの「会派」と呼ばれる集団を基礎として行なわれる。だから、立候補時には「無所属」を名乗っていても当選したらどこかの会派に所属しないとまともな議員活動はできないわけで、自然とその政治傾向が明らかになることになる。もちろん誰がどの会派に所属しており・その結果各会派が何人ずつかということは秘密でも何でもないので、取材すれば簡単に調べることができる。選挙の結果報道の流用ではできないけどな。
もちろんその、特に地方議会の場合には政党で示されるような政治傾向以外の理由で会派が分裂していることがあり――典型的には政務調査費をめぐる処理方針の違いとか――、そもそも一般的には議会外の「政党」と議会内の「会派」にはある程度のずれが生じ得るものでもある。ヨーロッパでは連立政権を組む都合から「政党」としては連合しても「会派」は相当に自律的で、だから党議拘束もそれほど行われないというのが大山礼子先生の指摘でしたね。選挙制度の違いもあって、二大政党制下で政党の支配力が強まっている国政と違って地方政治では従来の「地盤・看板・カバン」がまだ強いのではないかとは、私も前に書いたことがある。いずれにせよ地方政治の動向と国政はそれなりに独立なので前者を詳しく調べても後者に直接の意義があるわけではないよ、というのは指摘しておいた上で、しかしやるならもう少しまともに調べようやそのぐらいがあんたらのウリなんだからさあとは思ったことであった。(5/23公開)
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