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ステキ地方債(3・完)

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さて第二のコンフリクト対象は、将来世代である。地方自治体からの給付を受けるのは現行世代だが、その財源を地方債増発によってまかなう場合、その負担は将来世代に繰り越されることになる(財政が破綻しない場合はその自治体の将来世代、する場合は国家全体の将来世代ということになろう)。住民税引き下げの恩恵を受けるのもまた現行世代である。従って、住民税を下げ・給付水準を維持ないし引き上げ・財源を地方債でまかなうという選択肢は、将来世代から現行世代に対して所得移転を行うことを意味しているだろう(再度念のために書くが、住民税を下げ・給付水準を引き下げ・地方債は追加発行しないという選択肢もありえ、この場合は現行・将来の世代間に関する限り中立ということになろう)。

そして問題は、当然のことではあるが、現在の政治家の支持基盤となり、あるいは次回選挙における有権者として政治家の当落を決定することができるのは現行世代に限られるということにある。文句を言わない(言えない)将来世代の負担において、現行世代における支持基盤を強化することができるのであるから、少なくとも自己の政治家としての生存を価値基準とする限りにおいて、これは大変に合理的な選択だということになろう。

この点、何もこれはステキ市長だけの問題ではなくて、現行世代と将来世代のあいだに政治セクターに対する発言力に圧倒的な格差があり、かつ現行世代が将来世代に対する大きな配慮を行わずに自己の利害関心に基づいて意思決定するという前提のもとでは、共通に起こりえる話ということになる。従って、以前に某研究会で「財政の民主的統制は可能か」というテーマの報告をしていただいて検討したことがあるのだが、結論的にはまあだめぽということであって、どうしたものかとは(前回の話同様)思っているわけである。

***

とか書いてたらなんか同僚某氏がステキ市長氏のアドバイザについて辞意表明とかいう話が入ってきてなんだなんだそれは教授会で騒ぎになったのは何だったんだとか思わなくはない。やれやれ。

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Comment(2)

TK さんのコメント (2009年6月13日 18:25):

第2のコンフクリクトは、大屋先生の仰るとおりだと思います。
ただ、私が思うに、地方自治体の住民は、地方債は、自分達の税金が担保になっていると思っていない(自分達の借金と思っていない)というところに、最大の問題があるのでは?と思っています。
そこには、ステキ地方債(1)で示された、「暗黙の政府保証」という他に責任転嫁可能な制度があるのでは?と思ったりしています。

秘匿希望 さんのコメント (2009年6月27日 08:57):

最近、同じく住民税10%減額を公約にした候補者が、首長となった自治体が近畿圏にあります。ところで当該の自治体は、おおむね税収約5割・交付税約4割・起債約1割で、歳入が構成されていると耳に致しました。(住民税減税前の段階でこの状況です。)

この状況で、住民税10%減額を支持した有権者の自覚の程度も凄いと思いますが、今後も必要とされる起債に際して総務省はどう判断するでしょう。自前の税収で賄えないから交付税や起債をしてるのに、更に自前の税収を減らして、行政サービスを維持するために起債しようとする場合に、いくら有権者の支持があったとは雖も素直に起債を認めるのもどうか?と思うのですが。

報道機関の反応も含めて、気になる事案です。交付税非交付団体が住民税の減税を行うのは、自己責任の範疇ですが、交付税交付団体の間で、この動きが広まれば収集がつかなくなると想像しておりますので。

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