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「公衆送信」
著書の海賊版を納入し、貸し出しているのは著作権侵害にあたるとして、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した経験もある作家、萩原遼さん(71)が東大など8大学と外務省所管の財団法人日韓文化交流基金を相手取り、近く損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こすことが13日、分かった。(中略)一方、12年ごろから「北韓解放直後極秘資料」が日本の多くの図書館に所蔵されていることが発覚。萩原さんは各大学に廃棄を求めたが、東大、東京学芸大、筑波大、専修大、青山学院大、大阪大、関西大、九州大の各図書館と日韓文化交流基金図書センターは応じなかったため、著作権法で禁じられた違反物の「公衆送信」にあたるとして提訴を決めた。
(「「海賊版貸し出しは著作権侵害」大宅賞作家が図書館提訴」MSN産経ニュース)
(「「海賊版貸し出しは著作権侵害」大宅賞作家が図書館提訴」MSN産経ニュース)
......いやまあもちろん前提となるべき事実についてはそういうこともあるかもしれないしないかもしれないという一般論くらいしかわからないわけだがとりあえず「公衆送信」とはそういうことではない。以下、条文の引用。
著作権法(昭和45年法律48号)・第2条(定義)より
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(中略)を行うことをいう。
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(中略)を行うことをいう。
仮に事実関係が主張の通りだとして、各図書館が資料を貸し出していれば同法113条1項2号から著作権侵害と見なされる可能性があるわけだが、第一に(引用記事で東大がコメントしているとおり)事実関係に関する確認が取れていない段階では「情を知つて」いる(事情がわかっているという趣旨)とは言えないだろうし、第二に閲覧を認めているだけでは「頒布」にすらあたらない(ちなみに管見の限り東大所蔵分は学外者への貸し出しを認めていない模様)。そもそも現時点で各図書館に何らかの責任を問い得る事例かどうかすら疑わしいわけだが、まあそれ以前の問題でしたと。
もちろんこの問題が原告(になる予定の人)の段階で生じていたのか、当事者は正しく請求を基礎づけていたのに(どうやって? という気はするが)産経新聞の記者がどこかで間違った記事を書いたのかもしれない。前者だとしてもそのまま書いてしまった産経は凡ミス、とは言えるだろう。メディア関係者でも著作権法に関する知識とか、この程度ですよというお話。
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