ポジティブ・アクション

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P1000281続いてもう一つ。大屋雄裕「平等理論とポジティブ・アクション」田村哲樹・金井篤子(編)『ポジティブ・アクションの可能性:男女共同参画社会の制度デザインのために』第3章、ナカニシヤ出版、2007、pp. 64-81. これは名古屋大学の男女共同参画推進の一環として行われたポジティブ・アクション(アファーマティブ・アクション)に関する理論的検討の成果という側面も持つ本で、まあそのために共著者は基本的に名大の教員になっています。私がめずらしく正義論めいた原稿を書いているのもそういう事情なので、検討してる文献の範囲が狭いとか蓄積が浅いとか怒んないでください。いやわかってんだそんなことは自分でも。

レベル的に教科書よりは上で研究書よりは下みたいな話もあったので、関連する議論を要領良くまとめて検討を加えました程度にはちゃんと書いたつもりですから(その意味で教育者としての良心は満たしている)、学生さんや平等主義的な正義論に関心のある方が取っつくにはいいと思うんですけどね。第2章では愛敬浩二先生(憲法)が、私よりはポジティブ・アクションに積極的な立場からリベラリズムとの関係について論じておられますので、そちらと対比しながら読んで自分で考えると力がつくと思う。

あとこれは善し悪し抜きにして言うのですがやっぱり愛敬先生にせよ私にせよアメリカの連邦最高裁判例に議論が縛られているところはあって、たとえば単純なクオータ制は否定されているというのが前提認識としてある。これに対し理論的なクオータ制の正当化可能性を正面から論じているのが第1章の田村哲樹論文で、このあたりに——同じ法学部の中にいるわけではあっても——法学と政治学のディシプリン的な違いを見出してもいいかもしれない。

また第二部「実態編」では、憲法・社会保障法・心理学・経済学・社会学・教育学それぞれの観点から問題状況がまとめられているので、関連した知識を得るためにはhandyでいいんじゃないかと思います。いずれにせよご関心の向きはぜひ。はい。

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