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「日当」

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石原慎太郎・東京都知事の四男・延啓氏(40)が03年3月、全額公費で欧州に渡航していた問題で、出張費計55万円の詳細が24日、朝日新聞の情報公開請求でわかった。航空運賃や宿泊費など実費だけではなく、日当や支度料も、同行した都の参与と同額が支払われていた。石原知事は延啓氏の起用について「ただ働きする人間が必要」などと説明していた。(朝日新聞・2007年1月25日朝刊・名古屋本社14版34面)

「日当」も「支度料」も実費弁償であって報酬ではない。


  • 国家公務員の場合には「国家公務員等の旅費に関する法律」の6条1項が「旅費の種類は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、日当、宿泊料、食卓料、移転料、着後手当、扶養親族移転料、支度料、旅行雑費及び死亡手当とする。」(強調筆者)と規定しており、航空運賃や宿泊費と同様「旅費」の一部とされていることがわかる。この「旅費」は支給額のすべてが非課税であり、つまり税法上は支給を受けたものの所得と考えられていない。
  • たとえば私が出張したときにも鉄道賃・宿泊料だけでなく日当が支給されている。もちろん私には大学から出張日を含めた給与が支払われているわけで、仮に日当が報酬だとすれば二重支給が生じていることになろう。この財政難のご時世にそんなことあるわけねえじゃねえかと思うところではある。金額を示しておくと、国内出張の場合の日当は総理大臣でも3800円、私くらいのクラスだと2200円である。報酬なわけないだろうというのは、ここからも言える。
  • 四男氏はこの出張の時点で「TWSの外部委員を委嘱されている」(同報道)とのことなので、都の非常勤職員扱いであったものと考えられる。その場合、支給の根拠規定は東京都の「非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例」だと思われるが、その4条1項は「職員が公務のため出張したときは、その費用を弁償する。」、同2項は「費用弁償は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、日当、旅行雑費、宿泊料及び食卓料の八種」(強調筆者)と規定しており、正規職員の「旅費」同様に実費弁償の性格を持つことが示されている。なお2項は支給対象として「支度料」を含めていないのだが、これは同条3項「前項の規定にかかわらず、職務の性質上これによりがたい職にある者の費用弁償の額は、任命権者があらかじめ知事と協議して定める額とする。」を適用したのか(2項は報酬の額に応じて支給額を決めているのでそれが不適当だと判断されたのかもしれない)、それとも別の根拠規定があったのか、そこまではよくわからない。
  • そもそも「日当」とは何かというと、根拠が明確かどうかわからないが我々が聞いているのはこういう話である。たとえば私が東京の霞が関に1泊2日で出張したとすると、名古屋大学駅から名古屋駅までの地下鉄、名古屋駅から東京駅までの新幹線、東京駅から霞が関駅までの地下鉄の往復運賃(と特急料金)は「鉄道賃」として支給される。しかしたとえばホテルが新宿であったとして、霞が関から新宿までの交通費は支給されない。途中で所用があって本郷に寄ったとして、やはりその分は支給されない。出張先現地での移動に使う交通費はいくらかかっても「鉄道賃」に含まれないのだが、まあいちいち領収書なり集めて計算するのも面倒だという理由もあるだろう。
  • 出張で出先に滞在していることによって余計にかかる経費というのも本来はいろいろとあるわけで、たとえば「食費が余計にかかる」と言いたい気もする。もちろん本来の勤務先にいようと食べるものは食べるわけだが、出張先ではどうしても外食に頼るから出費が多い。携帯電話の通話料が多めにかかるとか、インターネット接続を確保するのにカネがかかるとかこの手のネタは沢山あるのだが、そのあたりをまとめて処理するのが「日当」で、まあそれをもらっているから文句を言うなという話である。
  • 「支度料」も同様の話であって、まあこれは前に書いたこともあるが私の場合は冬のモンゴルに出張するためのもこもこ防寒具というのを某外郭団体からいただいた支度料で買った。買ったはいいが赤字であり、他にぬくぬくズボン下とかも新調したので大赤字であった。これらいずれも日本国内で使ったことが一度もなく、海外出張さえなければ購入する必要のないものである。それを用意するために支払われるのが「支度料」なので、もらったから得をするという筋合いのものではまったくない。

なお同記事によれば日当の額は「1日あたりパリで7200円、ベルリンで6200円」、支度料は約35000円だったとのことである。前者について「総理より高いのか?」と思った人がいるといけないので補足しておくとこれは外国出張だったからである。海外の場合は滞在地によって支給額が異なるのだが、国家公務員の場合パリは「指定都市」、ベルリンは「甲地方」になる(「国家公務員等の旅費支給規程」16条。都の場合は都人事委員会の定めによることになっているが、おそらく国と同じである)。総理の場合なら前者で13100円、後者は11100円になる。

四男氏の支給額がどの程度かは、都の「職員の旅費に関する条例」に照らすと理解できよう。別表第二によれば指定都市の日当が7200円、甲地方が6200円になるのは「七級及び六級の職務にある者」であり、行政職(一)の場合なら課長か統括課長にあたる(参考)。大卒職員の場合は5級(課長補佐)になるのに最低17年必要なようだから、当時36歳前後と思われる四男氏は同年代の職員よりは良い待遇を受けたということになろう。これがたとえば「外部の人だから」という理由で正当化可能かどうかについてはいろいろな意見があると思うが、私としてはそう大した「優遇」でもねえなという感じであろうか。

念のために言うが、この四男氏が渡航する理由になった事業が必要だったかとかそれに四男氏を使うのが良かったかどうかとか出張自体が必要なものだったかどうかとか、そのあたりの問題について上記は扱っておらず、私自身も確たる意見は持っていない。私が指摘したいのは、日当・支度料は出張に関する実費弁償として支払われる「旅費」の一部であり、本件報道の範囲では四男氏が「ただ働き」(報酬を受けていない)というのは正しいということだけである。

日常会話で「日当一万円」と言えばそれは報酬なり給与なりが一万円だということなので「日当」をもらっている=報酬を受けたと勘違いしたのかもしれない。あるいは、記事中どこにも「四男氏が報酬を受けた」とか「石原知事の説明が事実と異なる」とは書いていないところを見ると、そのように読者が誤解することを期待してわざとこういう書き方にしたのかもしれない。いずれにせよお粗末な話だ、ということである。

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Comment(4)

TK さんのコメント (2007年1月25日 18:28):

多分、朝日の記者の勉強不足によるモノだと思います。大体、新聞記者は、分からなければ「聞く」(自分で調べない)人種ですから。

TK さんのコメント (2007年1月30日 06:44):

慰安婦報道改編問題の判決がでましたね。
編集権を大幅に制約する判決を歓迎するマスコミ人って。。。。

おおや さんのコメント (2007年2月 9日 17:51):

>TKさん
報道を見る限り、期待権が肯定される特別な事情があったので、編集権に対する優位を認めたというロジックのようです。
ということは、あらかじめ報道意図を特定し、それを前提として取材協力を得るという本件番組の制作方法がそもそも異常であったという位置づけになっているわけで、池田信夫先生がそういう内容の指摘をされていたように思うのですが、番組企画自体が問題だったということになるのではないかと思います。やれやれ。

TK さんのコメント (2007年2月10日 22:26):

>報道を見る限り、期待権が肯定される特別な事情があったので、編集権に対する優位を認めたというロジック

すごいですね。判決ではなくて、それを歓迎するマスコミって。
これでは、取材先が「○○という報道意図の下で、その意図に適合的である限りにおいて取材に応じる」と言われたら、編集権は制限される、ということになると思うのですが。。。

あと、県知事選に関してですが、
朝日新聞は、菅直人の生産性発言(知事選の応援演説)を紙面報道しておきながら、公明新聞に引用されるまでスルーしていたのには驚きました。

それにしても、最近の朝日新聞は、紙面広告が多すぎる。中日新聞並みではないですか。。。

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多分、朝日の記者の勉

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