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よしなしごと

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P1000746.jpgさて空気も春めいてきてそろそろ新学期。このひと月くらい海外出張はあるわ入試はあるわ会議は多いわ原稿は出さないかんわ報告書は書かないかんわ親父は心筋梗塞で入院するわBlogは盛り上がるわで大変だったわけですが(最後のは自己責任だと言われるとあまり反論の余地がない)、ようやく落ち着いた時期を迎えることができるかと一息つきつつ本当にそうなのか自信のない私です(*1)。なお右写真は名古屋名物であるらしい「鬼まんじゅう」といってサツマイモの角切りと小麦粉の生地を蒸した菓子ですが、どんぶりだと中まで蒸し上げるのが大変なのでちゃんとした蒸し器を買ってこようそうしよう。

藤原正彦『国家の品格』(新潮新書・2005)をめぐって著者自身と内田樹先生のご意見が朝日新聞に掲載されていて、この点に関しては内田先生が非常に正しい指摘をしていると思う。つまり「品格」というのは他者が私をどう見るかという問題なので、他者の悪口を言っていれば良くなるというものでもない。他者の視点を予期して「品格ある」と認められるようにふるまうしかないのだが、その点において非常に重要なのはフェアネス(公正さ)だろうと、そういう話。他者というのは無限に想定されるもので、個々の他者に適切に応対しているだけでは、すべての他者を接遇していることにはならない。すると(例えば)日本に現にいる外国人というものに特権的な審級を与えることにもならないんじゃないかという疑問はあるが、しかし非常に適切な評だろうと思ったわけである。

さて話は変わって文部科学省による各LSへの個別留意事項が公開された件(PDF)、報道では「千葉大と名古屋大に対しては改善点とは別に、法学以外の学部出身者や社会人を入学者の3割以上とする努力規定が満たされていない点を指摘した。」(共同通信)とあってどっきりしたのだが、とりあえず上記留意事項は本学LSには付されていないので、まあ一応合格点をいただけたということなんでしょう。LSの先生方はお疲れさまでした、という感じ(いや私も巻きこまれはしているわけだが)。努力規定の点については、LSの側だけではどうにもならんこともあるしね。元々志願者が少なければどうしようもない。

一方「法科大学院、96%が修了 半数が新司法試験合格見通し」(asahi.com)というニュースもあった。記事は「厳格な修了認定の目安としては、修了者の約7〜8割程度が新司法試験に合格するといった目標が掲げられていた。しかし、ほぼ全員が修了したため、修了者の2人に1人が合格する見通しとなる。」と、つまり合格率約50%は「低い」という書き方だが、この数字がどんどん悪化する見通しであることはすでに知られている。つまり2回目となる平成19年度の新司法試験には、5000人以上の新規修了者に加えて1年目の不合格者・1000人以上が臨むことになる。合格者数をいきなり3000人に引き上げるというかなり楽天的な予測に基づいても合格率は1/2を下回る。さらに翌平成20年度には新規修了者約5500人とそれまでの不合格者約3000人が合格枠3000を奪い合うので、合格率は35%程度になるだろう。

……とまあこういう話もコーネルではしてきたのである。そのときに使った数字はもう少し細かいが、(1)非修了者がどのくらいになるか、(2)合格者に占める新修了者の割合、(3)新司法試験の合格枠の人数、などの数字に不確定なものが多いのでいずれにせよがざっとした概算である。さらに注意すると新司法試験にはいわゆる三振制度があってLS修了による受験資格は「5年間・3回」までに限って有効だから、仮に平成17年度卒業者が18年度新司法試験から連続受験し、連続で不合格になった場合、平成20年度新司法試験を最後に受験資格を失う。従っておそらく合格率は30%台で収束するのではないかと、やはり概算ではあるが想定される。

逆に言うと、例えば今年度の新司法試験で想定通り合格率70〜80%を維持できるように「厳格な修了認定」をすれば、合格者1100人・合格率70%というもっとも甘い想定でも修了者が1570人程度でないといけないわけで、すると入学者2349人のうち780人くらいドロップアウトさせろということになる。中退率1/3なんてことを、元々経営しなくてはならない私立大学・法人化に伴って経費削減だの財務体質の改善だのを強く求められている国立大学のどちらにせよ、できるわけがない(*2)。大学院の定員充足率を厳しく文部科学省にチェックされている現状ではなおさらである(*3)。つまり本質的な問題は修了認定が甘いか辛いかではなく、そもそもの母数となっている定員自体が多すぎるという点にあるのだ。

「で、どうする」という話には明確な展望がない。あっても(一応当事者のはしくれである以上)人前でぺろりと言える話でもない。まあ、いずれどうにかしないといけない問題が発生するのでしょうね、くらいのことなら3年前から言ってきたのだが。

***

ところで出入り禁止にした方(現在のところスパムコメントを除けば唯一)から直接メイルをいただきまして、どうやら私は不徳を怒鳴りつけられていたらしいです。……まあ、春ですからね(*4)。

(*1) なお父はすでに退院しました。これが大宮に通っていた理由だったり。
(*2) 中退でなく留年ではないかと言われるかもしれないが、留年者は結局その後受験者として再登場してしまうので、合格者/受験者比の改善には役立たない。留年するにせよしないにせよ、最終的に受験資格を得ることなくドロップアウトする人の数が問題になる。
(*3) 例えば補助金の審査においても、大学院の定員充足率が低いと厳しく指摘される。これを回避するために研究者としての適性にかかわらず安易に大学院へ進学させてしまうケースが見られることとその問題点についてはかつて述べたことがある。念のために言うと法学系では社会人向けのリカレント教育コースを設けるなどの手段でそのような悲劇の発生を防止しているケースが多い。
(*4) というか意見の如何に関わらず出入り禁止になったのは自分一人であるという点から何事かを反省してもいいと思われるのだが、まあ反省する能力がないからそうなったんだろうしなあ。

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Comment(2)

TK さんのコメント (2006年4月 4日 18:20):

LS問題で、かつては、「修了すれば7割は合格する」と言われたので、会社を辞めてLSに入学したのに~、という意見が合ったのですが、今はどうなんでしょう?
あれだけ話題になったのですから、そんな人はいないと思うのですが。。。。

おおや さんのコメント (2006年4月 4日 18:27):

>TKさん
ども。合格率が低くなるという件は、たしか設立1年目の夏くらいにはマスコミ報道されていたと思います。なので、今の新入生にそこまで楽観している人はいないでしょう。もちろん、「30%なので俺はそこに入る」と楽観している人はいるでしょうし、現行司法試験(合格率2〜3%)に比べればバクチ度は低いですから、それなりの覚悟で会社を辞めてLSに来たという方はちゃんといます。

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>TKさん ども。合
TK on よしなしごと:
LS問題で、かつては

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