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ちゃんとしよう
誤字と誤植は江戸の華(挨拶)。これに誤訳を加えても良いのだが人間の世からなくすことはできないわけで、そのへんは読む側で適宜なんとかするものだと思ってます。大学に入ってすぐ受けた演習で、課題図書について「読んでわかんないなと思う箇所はほぼ誤訳だから無視してよろしい」(要旨)と言われたときはさすがに動揺しましたが。ちなみに言ったのは師匠、言われたのは、最近岩波文庫で新訳の刊行が始まったあの本です。
その一方で入試だと「一言一句の誤植も許さない」なんて雰囲気で繰り返し繰り返し校正させられるわけです。そりゃまあ不等号の向きが逆で答出ませんなんてえのについて正しい設問は何だったか推測して解答することを受験生に求めるわけにもいかないのは理解できますが、論文だの小論文だので「回転」が「回軽」になってたって読めないわけはないわけで。これで読めなくなるような人間はそもそも文章読解力が根本的に不足している、ついては公表されているこの試験で何をチェックしているか、どういう能力を求めているかみたいな文書に「誤植にたじろがない強い心」と書き足せばもう校正しなくていいんじゃないだろうかと提案してみたのですが、「それで誤植がなかったらどうする?」と返されました。そうきたか〜。なお例は架空のものであり以上はあくまで一般論です。
とはいえもちろん誤植はないに越したことはなく、特に重要な箇所や専門用語で誤植や誤用をしていると信頼性まで揺らぐというか、おまえ本当に勉強したのかという気分にはなります。で、つい最近読んだ新書二冊がちょいと気になったのでこうして書く。一冊は小松義夫『世界の不思議な家を訪ねて−土の家、石の家、草木の家、水の家』で、予想したのと違って家の構造や歴史の話はほとんどなく、カメラマンの人の不思議な家探訪の旅行記みたいな雰囲気だがこれはこれで楽しく、カラー写真が載っていることもあって興味深いものだったのだが、途中で「通産省(現国土交通省)」とあって驚く。どっちが間違ってるかわからないが通産省なら現・経済産業省だろうとまあそれだけの話。
もう一冊は川島令三『贅沢な出張 全国鉄道ガイド』で、これは私にとっては駄本。副題に「最新グリーン車案内」とあるがグリーン車の話は一部だけだし、基本的に時刻表でも読めばわかる話がえんえんと細かいスペック混じりに書いてあるだけであまり参考にならない。だいたいグリーン車の何がいいのか判然としなくて「雰囲気がいい」とか「ドリンクサービスがある」とかばかりなのだが、たとえ無料でも新幹線のあのコーヒーみたいなもの持ってこられるくらいならドトールで買って持ち込みます(笑)。全体に文章が「である」「である」で終わってばかりとか同じ表現の繰り返しがあるとか九州新幹線が全線開通したら山陽と直通で豪華車両をみたいな話が載っているのだがあれ、つい先日JR西日本のえらい人が直通運転に否定的な発言してなかったっけとか、はしばしにクオリティが低い。さらに一番気になった点なのだがこの人、名古屋市の中央本線千種駅に「ちぐさ」とルビを振っているのだが(しかも複数回)、これ「ちくさ」だよねえ(参考・JR東海 千種駅関連情報)。駅の名前間違える「鉄道アナリスト」?
で、これ二冊とも角川書店の「角川oneテーマ21」なのだが、中の人はちゃんと原稿のチェックをしたのだろうかというのが大変に気になるところである。著者が間違いのある原稿を書くというのはあり得ることであってこの点については私もぜんぜん大きな口は叩けず、先日も某講談社の校閲の優秀さをさんざん体験したばかりである。特に勝手に直さないでこちらの確認を求めるという点がどこかとは違って非常に優れた点であって(まだ言ってる)、いや「正当性」と「正統性」は違う概念なので勝手に表記統一されていたらえらいことになるところだった。話を戻すが、しかし上記の二点というのはそういうレベルの話ではなくて単純なミスである。誰か止めてないといかん問題なのではないか。新書戦争はますます激化の一方であって各社とも競争に忙しいのはわかるんだけどなあと、まあそういう話。
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川島令三は鉄道マニアの間ではずっと昔からトンデモ認定されている人ですからね。誤植以前にこんな人に書かせるべきではなかったでしょう。
>Baatarismさん
ども。あ、やっぱりそうなんですか。なんか前に「とにかく路線を増やせ」と「とにかく速く走れ」しか書いてない本の著者がこんな名前だったなあという気はしていたのですが。