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海外研修引率記(4)
そういやなにをしにきたのかという肝心のことを書き忘れましたな。決して観光をしたり現地機関を訪問してにこにこしたり飲み会でダンスしたりするのが目的ではないのですよ。そのはずです。そうだと思う。そうなんじゃないかな。まあちょっと覚悟はしておけ(何を)。
今回は名古屋大学法学部の学生海外実地研修の引率でして、目的はカンボジア・ラオス二カ国の見学と、学術交流協定締結校である王立法経大学(カンボジア)・ラオス国立大学法律政治学部の学生との交流です。「交流」といっても市内観光して酒飲んでやあやあではあまり仕方ないわけで、主目的は日本・現地二カ国における最近の司法改革についてというテーマで学生間の討論・意見交換を行なうことであります。そのためにディスカッションに先立って日本サイド(私)・現地サイド(協定校の先生)双方から関連する講義を行ない、また訪問国の法務省・裁判所・国会など関係機関を訪問してお話しをお聞きしたり学生からの質問に答えていただいたりしました。お時間を割いていただいた方々に深くお礼申し上げます(いやあの、読んでないと思いますが)。
私の講義は「Typical Images of Japanese Judicial System」と題して、2000年前後以降に行なわれた一連の司法改革以前に日本の司法制度がどのような状況にあったかということを、いくつかの統計を使いながら説明しました。なんか最近英語でこういう法社会学的なこと話す仕事ばっかりなんですが。序盤で裁判件数・犯罪件数の少なさを指摘し、その原因を文化的要因に求める川島説、強力な政府に求める説などを紹介しつつ、司法制度の使いにくさというシステム的要因に注目する説へと説明を進めるという展開で、さて日本人学生は(カンボジアとラオスの両方で聞いたこともあって)わかったと思いますが現地学生に伝わったかなあ。というのは国制に関する基礎知識というのが共有されていない面はあって、例えばラオスの国民議会を訪問した際に学生の質問に答えて内閣不信任決議の説明をしたのですが、衆議院と参議院について話すと「国会が二つあるというのはどういう意味なのか」と聞かれてしまう。あ〜国民議会は一院制だっけ。でまあ権力分立と抑制均衡に関する知識が必要になるわけですが、それもないんだっけこの国。ええっと、どこから話せばいいんだろう私は。とまあそういう次第。どうにかせんとなこれも。
この間、使用言語は基本的に英語になりますから、学生たちには普段使わない英語でコミュニケーションし続ける能力と気力が求められることになります。またお互いに発音に癖があったりするので慣れるまで大変だし。そういう事情もあって、カンボジアでもラオスでも学生たちの討論がどのくらい成功したかという点には疑問もあるわけですが(まあ置かれている状況も法学の歴史的蓄積も違うので限界はあります)、簡単にはわからない・わかりあえないということがわかれば過半は成功なのかなと個人的には思います。少なくとも仲良くはなったみたいなので、そういう経験が彼らの役に立てばいいなあと思うわけではあります。何かの役には立つよね、きっと。
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