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やぶへび
今日の朝日夕刊・素粒子。
つ【負け犬の遠吠え】
さてマイヤーズ大統領法律顧問が辞退に追い込まれたアメリカ連邦最高裁判事の指名、民主党リベラルにとっては藪をつついて蛇を出す結果になったかなという感じ。つまり同氏がブッシュ政権に近いということで攻撃していたところ辞退とあいなり、勝利かと思いきや実は妊娠中絶問題などに確固とした意見表明をしていないので保守派からも攻撃されたというのが致命傷であって、それを解決するためにブッシュ大統領としてはより強硬な保守派に属することが明瞭なアリート・第3巡回区連邦控訴裁判事の指名に踏み切ることになった。マイヤーズ氏と違ってアリート氏の裁判官としてのキャリアには文句のつけようがないので、公聴会で共和党も認めざるを得ないようなドジを引き出せればいいけれども、さもないと投票に持ち込まれて負けることになる。中立派として機能していたオコーナー判事の代わりに明確な保守派が増えることになるので、リベラルにとっては確実な損。実はマイヤーズ氏には新たなswing voterになる可能性があったのだがと、そういう話。
このマイヤーズ氏の敗因(右派受けの悪さ)というのを踏まえないと「リベラル勝った、ブッシュ負けた、わーい」という話になってしまうのだが(なんか朝日はそういう雰囲気だったような気がする)、実際には指名辞退のあとで民主党の院内総務が「アリートはやめろ」という申し入れをしていたのを真っ向無視して今回の指名に至ったわけで、ブッシュ政権としては弱った求心力を右に寄ることで回復しようとしたということになるだろう。いろいろな意味で望ましくないのでどうしてそういう追い込み方をするかなあと思うところではある。
さて問題は上院の承認手続におけるフィリバスター(議事妨害)の可能性に絞られる。朝日夕刊では民主党のフィリバスター戦術に対して共和党側がそれを認めない上院規則改正案提出の構えという対立の構図になっているが、実際にはどうも中間層の動向が問題になるようだ。というのは、「とにかく抵抗」と「とにかく数で押し切る」の中間に、フィリバスターは少数派の権利だが単なる政治的立場の違いを理由にした行使は許されないと考える、まあ私からすると真っ当な立場の人々がいて、前回は民主・共和各7人のそのような上院議員たちが「フィリバスターにも規則改正にも賛成しない」という協定を結んで解決したようなのである(Gang of 14とか呼ばれている)。
ところでリベラルが今回のアリート氏指名に対してフィリバスターを試みたとすると、これら中間派の人々はどう動くだろうか。判事としてのキャリア不足のように、政治的意見に関わらず認められるような問題点をリベラルが見つけ出すことができれば、マイヤーズ氏の場合同様の決着になる可能性が高い。考えられる要素として「女性ではない」というものがあるが、しかしアリート氏はイタリア系で一応マイノリティなので、多様性の確保という要請は満たしていると反論されそうである。一方、単に保守派であるという理由しかなければ、共和党の7人が規則改正賛成に転じる可能性が高く、その場合リベラルは今回敗北するだけでなく将来の抵抗手段まで奪われる可能性がある(もちろん多数派が交代すればそれが共和党にも跳ね返るわけではあるが)。勝てるか勝てないか、負けるとしてうまいこと惜敗に持ち込めるのか惨敗に押し込まれるのか。いずれにせよ大蛇が出ないといいけどなあとヨソ者としては思うまでである。負け方って重要だよね。
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